2014年9月7日

失敗しない自己紹介の方法

伝え方、伝わり方

我が家の2歳3ヶ月は、まだ自分の名前をはっきり言えません。

「〇〇ちゃん」と自称していたのが、今朝聞いてみたら「スズチ〇〇」ぐらいに成長していたのにおどろき、

「スズキ〇〇〇くん?」と呼ぶと「はいっ!」と返事。では「スズモ〇〇〇くん?」と聞くとまた「はいっ!」

と言っていたので、あまりはっきりしていないようです。

 

さて、自己紹介は、人間が発語できるぐらいになるころから集団生活に付きまとうもので、年齢や状況に応じてその内容は変わってきます。

 

わたしはこれまで、仕事で自己紹介文を書く際、わりと膨らませるようにしていました。相手にあわせて関連した経歴を伝え、好意を持ってもらえるように、事実をトーンで補強。ファクトに誤りがないよう正式法人名と職務、担当したクライアント名やプロジェクト名などを入れ、結果を示す実績を列挙。プライベートにも触れたほうが安心してもらえそうならば既婚、一児の母等を入れます。

 

しかし、それで邁進できた30代が過ぎ去り、つくづく思うのですが、万人に好まれる自己紹介など存在しません。

どう相手に合わせようと思っても限界があり、取捨選択の末に弾かれることもあります。


「自分」の機能低下と修復

自己紹介は話のきっかけでしかありませんが、そこから長きにわたり強く否定され続けると、機能不全に陥る可能性もある人間とはもろい生き物です。


脳と心身の疲労について、北里大学教授、田中克俊氏はこう述べています。

どんな人でも、脳が疲労してしまうとその人らしい心を作りだすのは極めて困難になる。

脳が疲れてしまうと、ヒトは本来の心身の力を失い、その人らしさを失ってしまう。

普段だったらサッと片づけられる仕事に何時間もかかっていまったり、

ちょっとした心配事にも必要以上に切羽詰まった気持ちや悲観的な気分になってしまったりする

(2014年9月12日 日本経済新聞「メンタルヘルス管理②レクチャー」抜粋)

 

元来まじめで責任を背負おうとする性格の人の場合、心身が疲労すると自分を責め続け、自分をさらに追い込み、軽度の抑うつから重度の大うつ病に進行することもあります。

  

心身の疲労、ストレスは誰の生活においても生じるものですが、問題は程度や持続性と、その解決の有無です。

厚生労働省の「労働者健康状況調査」(2012年)によると、60%超の労働者が、現在の自分の仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄がある(19ページ参照)と答え、73.8%の労働者が、家族や上司・同僚に相談をした(17ページ参照)がそれにより悩みが解消されたと答えた人はわずか33%(18ページ参照)という結果が出ています。

 

上司も人、部下も人。

コーチングしかりメンタルヘルスケアしかり、上司が指導のスキルを身に付けて相談にのり、部下がそれを聞く耳をもたなければ、なかなか機能しません。


もし同じような疲労、不安、悩み、ストレスの疑いがある方は、まずは社内外の仲間に相談し、それでも解決しない場合は、東京都労働相談情報センター(職場のメンタルヘルスの参照、相談窓口の利用)などが有益な情報や助言の源となるかと思います。

 

かくいうわたしも、仕事の実績を積み上げることが自己形成につながっていた20代、30代を過ぎ、出産と育児休暇を終えた40代で復職したころ、過労により倒れてしまいました

わずかですんだ傷病休暇中は、目に見えない不安や自己嫌悪との闘いから、自宅内で日々憔悴していました。

幸い、社内外の仲間、家族や友人の助け、医者の助言、上記のような情報の収集および把握によりほどなく再び自分のなかの折り合いをつけ、復活することができました。

 

実は今でも、あのときのトラウマを思い出すと流涙しそうになります。

そんな時は、状況を理性的に分析して、組織的問題と個の性格・人格は別物と切り分け、問題解決法を考えると感情的にならず平常心で前に進むことができます。

 

「立ち直りの早い人」になる4つのポイント(2014年08月31日、HUFFINGTON POST掲載)を適当に要約すると、「早く立ち直るためには、1日10分静かな環境で自分の呼吸に気づいていくエクササイズなどで、理性から感情に働きかける脳の神経回路の訓練ができる」といえるようです。

まあ、脳のことはよくわかりませんが、理性で感情をコントロールし、判断力、注意力を高めて心の安定を保つうえで瞑想が有効であることは、会議中でもマインドフルになれる2つの簡単なテクニック(2014年8月24日、Harvard Business Review)でも述べられています。

ある意味、禅の逆輸入ともいえる発想です。

 


転んで学習したこと

わたしの場合、傷病が癒えて仕事に完全復帰してみると、ありがたいことにみなさん普段通りに優しく接してくれ、新しく会う方々も快く受け入れてくださり、仕事の幅も広がりました。

 

これを機に、人のマネジメントの重要性を痛感しました。自分自身も上も下も。

また、クライアント企業、とくに起業家経営者の支援にあたるうえで視野が広がり、組織運営や社会にもより貢献したいと思うようになりました。

 

そしてこれを機に、 心身が疲弊する前に休むタイミングや方法を学びました。 

育児等により長時間労働できない場合は、以前にまして集中し、より心をこめて仕事するようになりました。

 

一時的な一部の攻撃に翻弄されて、自身が壊れて仕事や生活が止まり、周囲にしわ寄せ、迷惑、面倒、心配をかけるようなことはもう二度と起こさない覚悟です。

転んでもタダで起きない性分なので、これを糧に、休んだ分、休み休みがんばる所存です。 

 


自己紹介の前に

そんな小さな経験を経て、改めて心したのは、自己紹介をする際に、自分が嫌われることもあると自覚すること。

そして、嫌う人もいれば、応援や心配してくれる人もいることを忘れないようにすること。

 

もし嫌われても、問題点を処理して仕事を遂行する。距離が必要な人とは適切な距離を置く。

罪は人にあらず。組織の問題は、組織的に取り組む。

 

もし嫌われても、支援してくれる人のためにも、自分を大事にする。

変わらない自分の核の部分は、伝え方や接し方の工夫をしながら、大事にする。   

人間、活きるところに身を置いてこそ適材適所。自分を諦めない。

 

と、当たり前のことを40歳過ぎて改めて認識しました。

これからの無数の場面で、自己紹介することを恐れずに、年齢を言い訳にせずに成長していきたいと思っています。

まだまだ残り半分ある人生、知も愚も集積して、今後の成長の燃料にしたいと思います。

  

自分を諦めない、自己紹介を恐れない。

それが、失敗を失敗に終わらせない自己紹介の方法だと思います。

日々是好日
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