2015年6月28日
オフィスが銀座にあると外国人観光客の流れを目の当たりにします。ちょっとランチや外出するたびに、円高に伴う訪日客のインバウンド消費、中国からのツアー客による爆買いを垣間見て、2011年の震災後ぱたっと途絶えた客足がウソのようです。
当然ながらPR業界では、インバウンド需要を取り込む題目のセミナーや勉強会がひっきりなし。
先日聞いた話で個人的に面白かったのは、「中国人は買い物に来て中国語の表示がなかったら差別されていると感じる」というものでした。とりもなおさず、中国のふつうの人たちが日常の延長感覚で気軽に日本に来てみたら、ところどころ漢字なのに意味をなす中国語表記がほぼ皆無でストレスを感じる、ということだと思います。
外国語圏に初めて出る誰しもが感じるところではあります。が、マイナー言語の日本語を母国語とするわたしには盲点でした。さすが中華思想。
中国語を母国語とするのは13億人で、英語の5億人の倍以上。まあ、数の論理でしょうか。
外国人観光客が多いのは台場も同じく。ゴールデンウィークの友達家族と遊びに行った時、写真撮影をお願いした若者に中国語で返答されて一瞬驚きました。パッと見同じアジア人なので、わからない時はわからないですよね。彼らはどうやら、日本に留学中のホスト役と、遊びに来た友人のゲスト役からなるグループのようでした。
そこでも別の意味で感心したのは、「話が通じる」と「言語学習」は必ずしも同期しない、ということでした。
こちらが日本語で「写真撮っていただけますか」「あぁ、ごめんなさい。ブレてるからもう一回」とまるで学生アルバイトさんに依頼するかのような厚かましさでお願いしていると、意図をいち早くくみ取ったのは日本語がわからないゲストくんのほうでした。恐らく、ゲストくんは同じ観光客として「あー、この貴重なシーンを写真に残したいけどセルフィースティックだのオート撮影機能だのない、だれか撮ってー!」の思いに、言葉を超えて共感したのでしょう。
翻訳プレスリリース不自然さにイライラするだとか、的を射ない日本人よりも事情を共有している外国人のほうが話が早いだとか。
日本語を母国語とするものとして、英語は学習して身に着けたツール。
英語を使えるか否かで仕事の出来、不出来が左右されることはままあります。
が、時として言葉うんぬんいう以前に、中身や理解力があるかどうかがもっと重要だったりします。
翻ってわたしは、英語は日常業務で使いますが、はたしてそもそも中身があるのか。
不惑を過ぎてもいまだに反省し、勉強の必要性をヒシヒシと感じます。
とくにこの半年。昨年いったん疾病休暇をとった後、ようやく本調子になってきたところで、自分に足りないもの、今後に向かって今身に着けるべきもの、など今一度ふり返るようになりました。
どのくらい本気でふり返ったかというと、本気でMBA取得を思い立つほどでした。
わたしには知識と人脈が足りない。財務、会計、人事といった経営に必要な知識はもちろん、アナリティクス、マーケティングオートメーション、アドテクノロジー、デザインシンキング、イノベーションといった、自分が生業とするPRの再定義に必要な知識が足りないわ。それに、会社の枠や日本語に限定されずに協力できる人とのつながりを作らねば、と。
あと数十年、働いて成長していくために、こどもが保育園のうちの今、経営の基本を勉強し、人脈を広げたいと思いました。
会社だけでなく業界や経済の成長にも貢献できるよう、そして女性が仕事のうえで不利益を受ける時代が過去になるよう、といった未来への思いもありました。
今からMBAに着手したら、こどもが小学校に入るころわたしが卒業する。
それから今の会社で仕事の幅をより広げるもよし、企業内起業なり独立なりしてより自由な働き方をするもよし。
いずれにしても家庭を大切にしながら仕事をするうえでより有利な立場になり、子どもに勉強の大切さが伝わり、一挙両得かな、と。
そこでこの半年ほど、MBAの基本科目の基礎的な本をチラ見しつつ、よさげなコースを物色して、公開授業やセミナーに参加して情報整理してみました。仕事をしながら就学できる海外MBAに絞ると、ほらこんなにたくさん!
しかもピンキリです。海外MBAといいながら日本語での授業もあります。
個人的にはManchester Business School(MBS)に本気で魅了されました。
うまく奨学金をもらえれば600万円ほどで取れる世界トップクラスのMBA。
香港のリージョナル・ディレクターによる説明会に出て個人面談もし、その内容の濃さにクラクラして真剣に悩みました。
半年に1回は1週間ほどの海外授業があり、東大卒の方でも4年でギリギリ卒業、というかなりヘビーなものですが、面白そう!それが500万円台ならむしろリーズナブル!と金銭感覚が狂いそうな魅力です。
しかし、です。どの学校を選ぶとしても、卒業には睡眠と家族との時間が削られるのは明らかです。
それにMBSだと、まだ一人で食事ができない3歳児を置いて年に2回の海外渡航...。
うーん、連れていったら勉強ができないのは目に見えてるし、保育士を雇って同伴させるような金銭力はないし・・・。主人の海外出張の時期が重なったらアウトだし...。
でもMBSを見てしまったら他のMBAに何百万円も出すのに納得がいかない気がしてきたし。
ダブルワーク以上の苦労をする意味がそもそもなんだっけ?
と現実的に考えると、なんだか本末転倒な気がしてきました。
将来の幸せを実現するツールのひとつとしてMBA、と考えていたのが、MBSのMBAを取るためにすべてをかなぐり捨てる、と主脚転倒してきました。
しかも、すでに自分の畑をPRコンサルに確立しており、仮に自分で経営するとしてもいまどき会計、人事うんぬんの業務はアウトソーシングできる時代に、今からその苦労を買って、対価として得られるものはほぼ自己満足のような気が...。
将来の幸せを夢想しながら、目下の心身の健康や、家族の幸せ、本業のPRコンサルが脅かされそう...。
と思い始めてさらに選択肢を探ってみました。
そうだよ、あれだよ、オンラインスクーリング。ムーク、MOOC、Massive Open Online Courses。
資格にこだわらず自分のペースで学べます。
これがまた、あるある!しかもピンキリです。
リサーチにあたり市川裕康さんの記事やご意見、その他諸先輩方のお知恵が大変参考になりました。
リンクトインがリンダドットコムを約1,800億円で買収の意味---学びとキャリアのビジネス・プラットフォーム構築へ | 市川裕康「デジタル・キュレーション」 | 現代ビジネス [講談社] - http://bit.ly/1GEzvat
MOOCの代表的なものは以下でしょう。
Online Schooling Platform | URL | Language |
Coursera |
https://www.coursera.org/ |
English |
https://www.edx.org/ |
English | |
English | ||
https://schoo.jp/ |
日本語 | |
gacco |
日本語 |
|
Udemy |
日本語 |
これも物色するうちに、まずは自分に適した分野の無料コースを受講しながら、実務とリアルの出会いで学んでいくのが、最も身になる学習法では、という気がしてきました。
特にことデジタル分野に関しては、テクノロジーにしろビジネスにしろ現実社会の動きが早いので、有名校のオンライン授業を何十万円払って受けるよりも、実務に勝るものはない、という印象です。
金額の開きが大きいのも特徴的で、起業に特化して卒業証明をもらうコースだと、スタンフォードなら8,000ドル(約96万円)、メリーランドなら196ドル(約2万4千円)。ちなみにメリーランド大学は、わたくし初めて知りましたがノーベル賞受賞者輩出校とのことです。
Course | Fee | (1USD=120JPY) |
Stanford Innovation and Entrepreneurship Certificate |
8,000 USD |
約96万円 |
196 USD | 約2万4千円 |
さて、選択肢と学習法が見えてきたところでタイムアップ、というのがお決まりです。
教科書を買って満足するようなものです。
しかし、子どもがせっかくの休日に遊んでくれといって実力行使に出てきたので今日はこれまで。
引き続き模索は続きます。
少年老いやすく学成りがたし...。