2015年3月7日

PR2015考

 

勉強会などから考える機会がありました。

 

まず

ソーシャルメディアマーケティングとコミュニティマネジメントをあわせて考えるきっかけとなったのは先月2月26日。ビーコミ加藤恭子さん主催のマーケ広報 meetup 2015(有志の勉強会 兼 懇親会的な集まり)に参加したことでした。プレゼンテーションで加藤さんによるPR手ほどきに続き、マーケティング導入の創始者ともいえるシンフォニーマーケティングの庭山さん、日本におけるソーシャルマーケティング先駆者アジャイルメディア徳力基彦さん、コミュニティマネジメントの草分けソーシャルカンパニー市川裕康さんがご登壇。続けて、2013年に「IT業界にPR会社は必要か」を発表されたKADOKAWAの大谷イビサさんが、ITニュースの先駆的大御所Publickey新野さんと「IT媒体業界大動乱!~そのとき広報・PRは?~」というスライドを用いて、IT媒体の編集者の立場から、PR会社の介在なしに記事を書く時代になっているという事例を踏まえた現状をお話されました。

 

いったん標題から逸れますが、ここ数年議論にのぼる「PR会社はいるのか」論。

 

わたし自身がPR会社への発注者から受注者へ立場を変えながらその変遷を見ている立場として、その需要と供給を調べた結果、恐らく必要なんだが(是非の前に必要なのは)PRの再定義でしょう、というところです。それを、いい加減着手すべきと思っていたスライドにまとめました。

 

そのスライド公開後のディスカッションを含めて思うのが、

 PR担当が企業とマスコミの御用聞きとして右から左へ、情報なり印刷物なりを介在させる需要はほぼ終焉している。

 ただし企業と社会をつなぐPR任務は拡大している。

 というところです。

 

広義のPRニーズは高まっていますが、マスコミ対応単体のニーズはソーシャルメディア台頭により低下している、と言い換えられるかと思います。

 

 これについては下記が参考になります。

 

DIGITAL BOARD

2015/03/05

マスメディアに取材されるだけじゃ半人前!今こそPRを再定義せよ! ビーコミ加藤恭子×電通PR細川一成&黒澤光の凸凹PR鼎談

 

ソーシャルメディアマーケティングとコミュニティマネジメント

ここでお題の、ソーシャルメディアマーケティングとコミュニティマネジメントに関する記事を参照します。

 

 

Forbes

2015/02/12 

Why Community Management Is Different From Social Media Marketing

Jayson DeMers

 

コミュニティマネジメントとソーシャルメディアマーケティングは別ものだが、違いを判別したうえで同時並列させるのは有効、というものです。

 

広義のPRの観点からみると、コミュニティマネジメント、ソーシャルメディアマーケティングとも、企業もしくは組織の活動に内包されるものと考えられます。これを図式化しました。

理想的な広報戦略は以下のようなものではないでしょうか。

広報活動を遂行するうえで影響力を持つのは、いずれの場合もソーシャルメディア(ハコ)そのものでなく、その上にあるコンテンツ、コメント、ディスカッションといった内容(中身)と言えます。

 

ここ数年言われている、メディアでなくコンテンツが大事という論調、つまり

 

メディア<コンテンツ

 

といった公式や、ブランドジャーナリズム(参考: FT magazine The invasion of corporate news, September 19, 2014 )の台頭と一致します。

 

PR担当やPR会社の役割がマスコミ対応のメディアリレーションの会社だった時代は終焉していると再認識させられます。

 

メディアかコンテンツか

さて、ここで古典を参照します。Marshall Macluhan、マーシャル・マクルーハン。

オフィシャルサイトが充実していますが、YouTubeも素敵です。

 

彼の主張は、メディアはメッセージである、そのコンテンツよりもメディア自体の特性が社会に影響を与える、というものです。

 

 

単純化すると

 

コンテンツ<メディア

 

です。

 

連想するのが「コンテンツマーケティングは死んだ論」(参考:Huffington Post WATCH: Content Marketing is Dead. What's next? Shawn Amos, March 13)。


いかにも混乱させられますが、結論からいうと、PRにおいてコンテンツもメディアもどちらも大事です。

 

コンテンツマーケティング死滅論は、コンテンツの影響力に関する現状認識としては有効ですが、ある意味では次の流行り言葉探しともいえるのではないでしょうか。

 

企業ないし組織が、流行りに翻弄されずに持続的にブランド価値を高めるには、メディアとコンテンツ、それぞれを洗練させる活動を続ける必要があるでしょう。

 

これを図式化したものが以下です。マルクーハンにより初心回帰しました。

核はブランド

さて、一番大事なのは、企業なり組織なりの、ブランドを作っていくということです。個人も同じです。


ブランド論なしに短絡的な運びではありますが、広報とは自らのブランドを明確に定義して、ソーシャルメディア(およびあらゆるメディアを通じた)マーケティング、コミュニティマネジメントを通じてそれを伝え共感を得るための継続的活動といえます。

 

上記の「PRの再定義論」をふりかえると発信者のブランドの重要性がわかります。

同じ畑で同じキーワードを使っても、誰が伝えるか、が重要。無名の個人がスライドシェアでプレゼンをあげるのと、著名企業と高名な起業家が対談して企業サイトに記事をあげるのとでは、影響力が違います。

手法(メディア、コンテンツ)の違いはありますが、決定的な違いは、話し手、主体です。

 

つまりは、主体が、ブランド強化を主眼において、ソーシャルメディアマーケティング、コミュニティマネジメントを視野にいれた広報活動を遂行することが重要でしょう。

 

という訳でわたしも、時間をかけて自身のブランドを築いていこうと思います。